【原価計算】割引販売における利益確保の方法
はじめに
割引販売は売上を伸ばす効果的な手段ですが、原価や利益率を無視した割引設定は、利益を圧迫するリスクがあります。本記事では、割引販売における利益確保のための原価計算と戦略について解説します。
1. 原価計算の基本
割引販売で利益を確保するためには、原価を正確に把握することが重要です。
- 直接原価: 材料費、仕入れ価格など
- 間接原価: 人件費、輸送費、広告費など
- 総原価: 直接原価 + 間接原価
例:
ある商品の直接原価が500円、間接原価が200円の場合:
2. 割引販売の利益計算
割引後の価格が原価を上回ることが利益確保の基本条件です。
例:
通常価格が1000円、割引率が2割(20%)、総原価が700円の場合:
- 割引額 = 1000円 × 20 ÷ 100 = 200円
- 割引後価格 = 1000円 - 200円 = 800円
- 利益 = 800円 - 700円 = 100円
3. 利益を守る割引率の設定方法
最低価格を計算する
割引率を設定する際は、最低限確保したい利益率を考慮して最低価格を計算します。
例:
総原価が700円、最低利益率を10%とする場合:
- 最低価格 = 700円 × (1 + 10 ÷ 100) = 770円
この場合、割引後価格は770円以上である必要があります。
最大割引率を計算する
最大割引率 = (1 - (最低価格 ÷ 通常価格)) × 100
例: 通常価格が1000円の場合:
- 最大割引率 = (1 - (770 ÷ 1000)) × 100 = 23%
4. 割引販売の具体例
ケース1: 在庫処分セール
原価割れを避けつつ、在庫を早期に処分する場合:
- 総原価: 500円
- 通常価格: 800円
- 割引率: 20%
- 割引後価格 = 800円 - (800円 × 20 ÷ 100) = 640円
- 利益 = 640円 - 500円 = 140円
ケース2: リピート促進のための割引
利益を確保しながらリピートを促進する割引:
- 総原価: 300円
- 通常価格: 1000円
- 割引率: 10%
- 割引後価格 = 1000円 - (1000円 × 10 ÷ 100) = 900円
- 利益 = 900円 - 300円 = 600円
5. 割引販売の運用ポイント
- 販売データの活用: 過去の販売実績を参考に、割引の効果を予測
- 短期間の施策: 割引販売は期間を限定して実施し、価格の信頼性を守る
- 付加価値の提供: 割引だけでなく、特典やサービスを組み合わせる
6. 割引施策後の効果測定
割引販売後の効果を測定することで、次回以降の施策に活かします。
- 売上増加額
- 利益率の変化
- 新規顧客の獲得数
- リピート率の向上
まとめ
- 原価計算を基に、割引率を適切に設定することで利益を確保できる
- 最低価格と最大割引率を計算し、戦略的に割引を実施する
- 短期間かつ目的に合った割引販売で、顧客満足度と収益の両方を向上させる
適切な原価計算と割引設定で、利益を守りながら効果的な販売施策を実現しましょう!